ベルゼブブ
村人達は私に気がつくと一斉に赤く充血した目をこちらに向けた。地の底から響く祈りが止み、辺りは真冬の沼地のように静まり返る。イエス像の顔が割れ、中 から数匹のハエが現れた。村人達が赤い目で私を見ている。ハエが音も無く頭上を飛び回っている。音が無い。私は悲鳴を上げ気絶した。
翌朝目が覚めると、廃墟となった教会に私はひとり横たわっていた。体の節々が痛い。頬をかき、手足を伸ばす。昨晩のあれは何だったのだろうか? 頭に靄がかかっている。私は一体何をしていたのだろう?
割れた窓からはキラキラと陽光が差し込んでいた。もう昼過ぎだろうか? お腹がすいた…。私はゆっくりと羽を広げると腐肉を漁るために外へと飛び出していった。
太陽は既に高く上り、世界はハエで満ち溢れていた。
テーマは良かったと思うのですが、技術が足りませんでした!
次回は、『雪の仁王像』『集団リスカ』『宇宙への軌跡』『氷山の一角』のどれか。