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現在コミュニケーションが少し辛いので、スターはつけにいきません。ごめんなさい。

冬のホラー漫画特集

突然ですが、背筋も凍る冬のホラー特集!!
前回、映画を取り上げたので今回は漫画です。

ment.hatenablog.jp

私が一番好きなホラー漫画は山岸凉子の短編『化野の…』なのですが、今日はよりホラー漫画らしい作品ということで楳図かずおから紹介です。

知る人ぞ知るホラー漫画の名作
神の左手悪魔の右手


この作品、神、いや悪魔がかっています。ホラー漫画の金字塔であり、今後これを超える作品は現れないんじゃないかというくらい完成されています。
常軌を逸した残虐描写が目を引きますが、このシリーズ最大の魅力はとてつもない黒さにあります。ゴシックで退廃的でどこまでも黒い闇です。怖がらせようとしているのではなく、真っ暗な深淵に引きずり込まれるような感覚があり、読み終わるとため息がでます。やり過ぎたホラーは総じてギャグになるのですが、この作品は娯楽性を廃し黒さを追及することで純粋に恐怖を切り出しています。

特に1、2巻に収録されている「錆びたハサミ」は素晴らしいです。人間の描ける話ではありません。
主人公の少年が抱く子供特有の暗い妄想から始まるのですが、その妄想がやがて周囲の人々を飲み込み現実世界との境界が曖昧になっていきます。そして、どこがその境界だったかもわからない程あっさりと、その妄想世界と現実世界が入れ替わります。後半は狂気がすさまじい勢いでエスカレートしていき混沌としていきますが、そんな世界がある時、唐突に主人公の少年によって完結されます。
読者は最後まで、これを現実世界として描いているのか、妄想の世界として描いているのか、わかりません。意識して読んでいても世界が切り替わる瞬間を捉えることはできず、物語の登場人物同様に狂気の世界へと飲まれていくのです。

間違いなく名作です。ただし、初めに書いたように残虐描写が激しいのでそういうのが苦手な人は読まないで下さい。
ちなみに「黒い絵本」という話が映画化されていますが、この映画は悪い意味でため息が止まらないので見なくてよいです。