パウル・クレーについて思うこと
死を描く際に死体や死神を描くのは誤りです。死を描く際には「死」そのものを描かなくてはならない。それができる、見えないものを描けるから絵は写真と違うのです。
パウル・クレーは唯一「死」を描けた画家だと思っています。死の舞踏から始まった芸術は数世紀後にクレーにより完成されました。多数に枝分かれした絵画の系統のうちひとつに終止符を打ったのです。後期のクレーの作品は何処までも静かで虚無的で、内面には果てのない無限の宇宙を秘めています。初めて見た時は、こんな絵を人間が描けるのかと驚きました。人の五感では到底捉えられない領域に踏み込んでいます。
私にもこのくらい感性と表現力があれば良いのですが…。私が尊敬している画家のひとりです。